事故で車両保険を使う使わないの判断ができます【等級について詳しく解説】

投稿日 2023-01-12 | 最終更新日 2023-11-29

事故で車の修理が必要になったら、あなたは車両保険を使って車を修理しますか?

いやいや、車両保険を使ってしまうと等級が下がるからといって自腹で修理費用を払いますか?

それを判断するには、事故にあった車の修理費用はいくらか?や、車両保険を使って修理したら何等級下がり、もとに戻るまでに支払う保険料金がいくら増えるのか?など多くの事を考えなくてはいけません。

今回は、そんな車両保険と等級について解説していきます。

本記事を読んで頂くことで、事故が起きた場合の修理に車両保険を使うかどうかの判断ができるように記事を書かせて頂きました。

「保険会社や修理工場の言うとおりにしておけばいいや」ではなく、自分自身で最良の判断ができるようになりましょう。

事故・故障後に気をつける事3点

1. 警察に連絡をする。事故証明書は出しておいたほうがいい

保険を使用する・しないは別として、事故が起きた場合、必ず警察には連絡をしてください。警察に連絡をするのは、道路交通法で定められていますので「相手がいないからいいや」ではいけません。

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない

引用:道路交通法 第七十二条の一部

上記のように、どのような事故でも警察には連絡をしなければいけないと法律で定められています。ただ、事故内容によっては保険会社に提出する「事故証明は必要なかった」というケースも実はあります。

① 相手がいる事故であなたに過失がある場合

このケースは絶対に警察を呼んで現場検証をしてもらうこと。

「軽い接触だから」、「相手が呼ぶ時間がないって言うから」などの理由で警察を呼ばないのは絶対にダメです。

相手の方とその場では和解で終わったとしても、後から「車両の傷が見つかって」とか、「体が痛い」など、もめる場合が多いのです。

この手のいざこざは何回も見てきました。

後になって「証拠がない」では手遅れになります。

現場検証をしていれば、事故証明は後からでももらえるのでまずは現場検証をしてもらうことが優先です。

② 相手がいない事故の場合

このケースでは、「必ず警察を呼び、事故証明が必要などうかは保険会社に確認しましょう」が答えになります。

相手がいないこのケースでは、基本的には自分以外に迷惑をかけることはないのですが、保険を使用する場合は「その場所で本当に事故があった」という証拠が、後々必要になってくる場合があります。

また、一概に事故といっても「気がついたら傷がついていた場合」や「車を運転中、なんか音がしたけど家に帰って確認したら傷がついていた場合」など様々なケースがありますので「事故証明は保険会社に連絡して指示を仰いでください」となります。

保険を使っても使わなくても、ご自身が加入している保険会社に連絡して、「事故証明は必要ですか?」と確認すれば間違いないでしょう。

2. 保険会社には保険を使わなくても連絡する

軽い接触事故で保険を使わないと最初から考えている場合でも、保険会社には連絡しましょう。

保険を使わなくても相手側とのやり取りや、修理工場とのやり取りなどを代行してくれます

なので、修理工場とのやり取りをお願いして価格交渉 → 見積まで出してもらい、保険を使わないといけないような金額なら使うということもできます。

あなたが加入している保険会社から、修理費用を補償してもらう場合は等級が下がり保険料が上がりますが、相手側との連絡や修理工場との交渉をしてもらう分には等級が下がることとは一切関係ありません

3. 保険が適応されないケース

事故が起きた際に、保険金が支払われないケースがあります。

酒気帯び運転、無免許運転など違法となる運転をしていた場合や車から降りた後の事故、定員オーバーで乗車していた場合などがこれに当てはまります。

当たり前と言えば当たり前ですが、「大きな事故を起こしてしまったけど、5人乗りの車に6人乗っていた」なんてことがないように、普段からルールを守った運転を心がけましょう。

保険を使うと等級が下がるとは?

対物や対人、自損事故で保険を使うと「等級が下がる」とか「保険料が上がる」というのは皆さんすでにご存じだと思います。では、なぜ等級が下がったり保険料金が上がるのかを説明できる方は少ないのではないでしょうか?

ここからは、等級が下がったり保険料金が上がる仕組みを解説していきます。

等級による割引率

自動車保険でよく聞く「等級(制度)」とは正式名称「ノンフリート等級別料率制度」といいます。

これは無事故で保険料を払い続けている人と、事故で保険料を受け取っている人は区別しましょうという考えのもと誕生したものでして、「無事故の期間が長いほど割引していきますね」「事故で補償を受けた人はどんどん割増していきますね」というものです。


 等級には1~20まであり、最初は6等級から始まります。

 1年間無事故のたびに1等級あがっていきます。


注意点としては、事故をして保険を使ってしまい等級が下がるから保険会社を変えてしまおうというのは、意味がないという点です。

保険会社は等級、事故の情報を共有しているので保険会社を変えても意味がありません

下の(図1)では等級とその割引率について表にまとめてみました。この割引率は、どの保険会社に入っていても一緒ですので、A保険会社とB保険会社で割引率が違うことはありませんし、保険会社Aから保険会社Bに変えたら割引率が変わってしまったということもありません。

図1等級とその割引率

等級 事故有 無事故
20等級 44%割引 63%割引
19等級 42%割引 55%割引
18等級 40%割引 54%割引
17等級 38%割引 53%割引
16等級 36%割引 52%割引
15等級 33%割引 51%割引
14等級 31%割引 50%割引
13等級 29%割引 49%割引
12等級 27%割引 48%割引
11等級 25%割引 47%割引
10等級 23%割引 45%割引
9等級 22%割引 43%割引
8等級 21%割引 40%割引
7等級 20%割引 30%割引
6等級 19%割引
5等級 13%割引
4等級 2%割引
3等級 12%割増
2等級 28%割増
1等級 64%割増

同じ等級でも事故有と事故無では割引率が違う

図を見て頂くと分かる通り、事故で車両保険を使用した場合、車両保険の使用後に9等級になった人と、車両保険は使用していなくて元から9等級だった人とでは、同じ等級でもその割引率は変わってきます

これは、「無事故の人と事故で保険を使った人が同じ割引率っておかしくない?」という考えから事故有係数じこありけいすうというものが全保険会社に導入されてから変わりました。
(上の(図1)にある、7等級から事故有と事故無に分かれているものになります。)

これにより、事故で保険を使った人は、等級が下がり事故有係数適用期間中は割引率が減ります。

これが「保険料金が上がる」「等級が下がる」ということになります。

事故有係数適用期間

事故があり、自分の保険を使用した場合、等級が下がり保険料は「事故有」の割引率になります。(1~6等級にはありません。)

一定期間がたてば元の「事故無」の割引率に戻りますが、その戻るまでの期間を事故有係数適用期間といい、この期間はいわゆる「事故有の割引率」となるのです。

等級は3等級下がるものと1等級下がるもの、等級が下がらないものがあり、3等級下がったら戻るまで3年1等級下がったなら戻るまで1年かかります。

3等級下がる事故と、1等級下がる事故

等級が下がるのは3種類


■ 3等級下がるもの

■ 1等級下がるもの

■ 等級が変わらないもの


がありますが、具体的にはどういった場合でしょうか。

順番に解説していきます。

① 3等級下がるもの

これは「あなたに過失があり対物賠償や対人賠償や車両保険を使った場合」になります。
なので、自分の保険を使う事故はほとんど3等級下がると考えていいです。

また、1つの事故で「車両保険と対物賠償保険」、「対物賠償保険と対人賠償保険」など複数の保険を使用した場合でも、下がるのは3等級となります。

相手がいる事故で自分が100%悪かったので対物、対人と自分の車の修理で車両保険を使っても等級は3等級しか下がらないという事です。

② 1等級下がるもの

これは、「あなたに過失はないものの、自分の保険を使用した場合」です。

具体例としては、盗難、天災や爆発、落書きやいたずら、飛び石などがこれに当てはまります。

③ 等級がさがらないもの

自分に過失がない事故は相手の保険を使用しますので、等級が下がることはありません

また、過失があり自分の保険を使っても等級には影響のないものがありますので、後ほど解説致します。

保険を使い等級を下げるか自腹で負担するか

ここからは保険を使用するのと、修理費用を自分で払うのとではどちらが割安になるのかを解説していきます。

1. 相手がいる事故であなたに過失がある場合

相手がいる事故であなたに過失がある場合は、自分の保険会社へ連絡をして相手の保険会社などのやり取りを任せ、支払う金額が分かってから判断しても遅くありません。

ただし、相手がいる事故は後から、ああだこうだと金額が変わることも往々にしてありますので、場合によっては保険を使おうと考えておくと、後から悔しい思いをしなくてすみます。

2. 自損事故の場合

自損事故の場合は、相手がいませんので計算がしやすいです。

年間いくら保険料を払っていて、現在何等級なのかを調べ、今回の事故で何等級下がるのかを理解してもらうと事故前の割引率に戻るまでの期間と、その間に余計に払う保険料が算出できます
(後ほど、具体例で解説します)

その算出した金額と保険料を比べ、修理費用を自分で払った方が得になるようでしたら、自分で払ってしまった方が得策です。

これから具体例付で解説します。


【具体例】

■ 2022年1月に相手はいないが軽く車をぶつけてしまった。(ケガはしなかった)

■ 事故前 無事故10等級だった。

■ 保険会社に連絡をして修理工場に見積もりを出してもらったところ、
  修理代金は10万円だった。

■ その後は無事故で、保険を使う機会はなかった。


このケースで保険を使った場合と使わなかった場合を見比べてみましょう。

図2保険を使用した場合と使用しなかった場合の比較

 年度 保険使用した場合 保険使用しない場合
2022年 修理費用は保険会社から支払われる 保険料 55,000円 修理費用は自分で払う 保険料 55,000円 -80,000円
2023年 20%割引(事故有7等級) 保険料 80,000円 -27,000円 47%割引(無事故11等級) 保険料 53,000円
2024年 21%割引(事故有8等級) 保険料 79,000円 -27,000円 48%割引(無事故12等級) 保険料 52,000円
2025年 22%割引(事故有9等級) 保険料 78,000円 -27,000円 49%割引(無事故13等級) 保険料 51,000円
2026年 45%割引(無事故10等級) 保険料 55,000円 -5,000円 50%割引(無事故14等級) 保険料 50,000円
2027年 47%割引(無事故11等級) 保険料 53,000円 -4,000円 51%割引(無事故15等級) 保険料 49,000円
2028年 48%割引(無事故12等級) 保険料 52,000円 -4,000円 52%割引(無事故16等級) 保険料 48,000円
2029年 49%割引(無事故13等級) 保険料 51,000円 -4,000円 53%割引(無事故17等級) 保険料 47,000円
2030年 50%割引(無事故14等級) 保険料 50,000円 -4,000円 54%割引(無事故18等級) 保険料 46,000円
2031年 51%割引(無事故15等級) 保険料 49,000円 -4,000円 55%割引(無事故19等級) 保険料 45,000円
2032年 52%割引(無事故16等級) 保険料 48,000円 -11,000円 63%割引(無事故20等級) 保険料 37,000円
2033年 53%割引(無事故17等級) 保険料 47,000円 -10,000円 63%割引(無事故20等級) 保険料 37,000円
2034年 54%割引(無事故18等級) 保険料 46,000円 -10,000円 63%割引(無事故20等級) 保険料 37,000円
2035年 55%割引(無事故19等級) 保険料 45,000円 -8,000円 63%割引(無事故20等級) 保険料 37,000円
2036年 63%割引(無事故20等級) 保険料 37,000円 ±0円 63%割引(無事故20等級) 保険料 37,000円 ±0円

保険を使わなかった場合

このケースでは、修理代金10万円を自分で支払います。

自腹で支払ったため、等級は変わりませんので今までと同じように、1年ごとに1等級ずつ上がっていきます。

保険を使った場合

このケースでは、修理代金10万円は払わなくて済みますが、翌年に3等級下がり、事故有の割引率が3年続きます。

上の(図2)でいうと、10等級 → 事故有7等級 → 事故有8等級 → 事故有9等級 → 無事故10等級と4年目でやっと無事故10等級になりますが、保険を使った人が無事故10等級になったとき、保険を使わなかった人は14等級になっているので(事故後は無事故が続いたとして計算しています)これでは完全に戻ったとはいえません

10等級で保険を使ってしまうと、使わなかった場合との金額差がなくなるまで14年かかり、金額的には13万5,000円多く保険料金を払わないといけません。

このように、事故で3等級下がる車両保険を使うと、3年間だけ多く保険料を払えばいいというだけではなく、使う前と同等に戻るまでには長い期間が必要になってきます

なので金額ももちろん大事ですが、この損失期間についても計算に入れ、絶対に損をしないようにしてください。

使用しても保険料があがらない代表的なもの5点

人身傷害補償保険

こちらに過失があった事故の場合や、こちらに過失はないが示談が長引きそうな場合、相手が任意保険に入っていなかった場合など、相手とのやり取りに関わらず加入時に設定した金額までは受け取ることができるものです。

また、自損事故に関しても治療費、休業損害、慰謝料などを受け取ることができるものです。

搭乗者傷害特約

人身傷害補償保険は実際の損害額を受け取れる保険ですが、この搭乗者傷害特約はあらかじめ設定されている金額を、事故で被った傷害内容に応じて支払われるものです。

5日以上の通院で支払うとしているケースが多いため、ご自身の保険会社にて確認してみてください。

弁護士特約

相手がいる事故が起きた場合、その過失割合や補償範囲など、納得がいかなかった時に、設定された金額の範囲内で弁護士費用をみてくれるものです。

事故後の体への傷害の内容や、車の損傷内容によっては、最初から弁護士さんに依頼した状態で相手の保険会社とのやり取りを行ったほうが、あなたにとっては有利となるケースが多くあります。

基本的には相手側の保険会社は様々な支払い金額を少なくしようとしますので、大きな事故の場合は、最初から弁護士さんに依頼し、相手側の保険会社とのやりとりも代行してもらった方が得策です。

レンタカー特約

事故・故障にあった場合、損傷した車を修理に出している期間、代車としてレンタカーを借りることができるものです。

代車特約などとも呼ばれており、事故では30日故障では15日としている保険会社がほとんどです。

詳しくは、下記で解説していますので、確認してみてください。

レッカーロードサービス

自走不能、バッテリー上がり、車のカギを中に置いたままカギがかかってしまった、ガス欠になった、タイヤがパンクした場合など、現地までサポートを呼び各処置を行ってもらうものです。

最後に

どのような状況で事故・故障が起きたとしても、まず警察に連絡して事故証明をもらいましょう。

また、保険を使わないと思っていたとしても、あなたが加入している保険会社には必ず、連絡しましょう。特約など等級に影響のない補償を受けられる場合もありますし、無かったとしても相手側とのやりとりや修理工場とのやりとりは代行してくれます。

さらに、自損事故で修理が必要な場合は、自分は現在何等級で、保険を使い等級が下がった場合の損失額と実費で修理費を払った場合を比べてみてください。

交通事故は誰しも、予想外に起こるものです。

ただ、起こった後にどう対応するかで実際に支払う金額や保険会社から受け取る金額が大きく変わってきます。

あなたに少しも損がない方法を選択するようにしてください。


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